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リンパ腫グループJCOG0203の論文が Hematol Oncol (IF:3.3) に掲載されました
論文・学会発表- リンパ腫グループJCOG0203"未治療進行期低悪性度B細胞リンパ腫に対する抗CD20抗体療法+化学療法[Rituximab+standard CHOP(R ・S-CHOP) vs Rituximab+bi-weekly CHOP(R・Bi-CHOP)]のランダム化比較第Ⅱ/Ⅲ相試験"の長期追跡を元にしたリスク因子解析の論文が Hematol Oncol (IF:3.3) に掲載されました
- Watanabe T, Matsuno Y, Wakabayashi M, Maruyama D, Yamamoto K, Kubota N, Shimada K, Asagoe K, Yamaguchi M, Ando K, Ogura M, Kuroda J, Suehiro Y, Tsukasaki K, Tobinai K, Nagai H. Analyzing the risk factors for disease progression within 2 years and histological transformation in patients treated with rituximab plus cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine, and prednisone as first-line treatment: A 15-year follow-up of patients with advanced follicular lymphoma in JCOG0203. Hematol Oncol. 2024 May; 42(3):e3272.
- 概要
- 濾胞性リンパ腫(FL)は低悪性度リンパ腫であるが、組織学的形質転換(HT)によりアグレッシブリンパ腫となり、生存率の低下につながる。FL患者の臨床経過は様々であり、治療法も様々である。生存期間が短く、診断/治療後24ヵ月(POD24)以内に病勢進行する患者もいる。したがって、生存期間の短縮を予測する因子を同定することは、治療の層別化とFL患者の生存期間の延長に不可欠である。
- 一次治療としてリツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン(R-CHOP)を投与された患者におけるPOD24およびHTのリスク因子を解析するため、R-CHOPを2~3週間ごとに6サイクル投与した無作為化臨床試験の進行性低悪性度B細胞リンパ腫患者を対象に、この事後解析を行った。
- 主たる解析では転帰に差は認められなかったため、2群に割り付けられた248例のFL患者の解析が可能となった。登録された300例の全病理組織標本は、3名の専門病理医により検討された。多変量解析により、濾胞性リンパ腫国際予後指数(FLIPI)の中間リスク(オッズ比[OR]2.531、95%信頼区間[CI]0.676-9.466)および高リスク(OR 2.236、95%CI 0.160-31.226)、B症状(OR 2.091、95%CI 0.747-5.851)、グレード3A(G3A)(OR 1.833、95%CI 0.634-5.299)がPOD24の危険因子であることが示唆された。さらに、追跡期間中央値15.9年までの多変量解析では、G3A(OR 2.628、95%CI 0.806-8.575)および高リスクFLIPI(OR 4.401、95%CI 0.186-104.377)がHTの危険因子として関与していた。しかし、最初の10年間に限定した解析では、より長期の解析から明らかになった予後因子がHTに大きな影響を与えることが明らかになった。
- G3Aおよび高リスクFLIPIは、独立してPOD24およびHTを予測する可能性があり、それにより将来の臨床試験、特にPOD24患者のアンメットニーズに対処するための未治療進行期FL患者の治療層別化に情報を提供する。