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乳がんグループJCOG0306A1"術前化学放射線療法の病理学的効果判定法を検討する研究"の主たる解析論文がBreast Cancer Research and Treatment (IF:3.0) に掲載されました
論文・学会発表- 乳がんグループJCOG0306A1"術前化学放射線療法の病理学的効果判定法を検討する研究"の主たる解析論文がBreast Cancer Research and Treatment (IF:3.0) に掲載されました
- Shien T, Tsuda H, Sasaki K, Mizusawa J, Akiyama F, Kurosumi M, Sawaki M, Tamura N, Tanaka K, Kogawa T, Takahashi M, Hayashi N, Mukai H, Masuda N, Hara F, Iwata H. Comparison of proportions and prognostic impact of pathological complete response between evaluations of representative specimen and total specimen in primary breast cancer after neoadjuvant chemoradiotherapy: an ancillary study of JCOG0306. Breast Cancer Res Treat. 2024 Jun 27. doi: 10.1007/s10549-024-07408-5. Epub ahead of print. PMID: 38935214.
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背景
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原発性乳癌に対する術前補助化学療法後放射線療法(NAC-RT)の有効性を検討した第II相試験であるJCOG0306試験では、腫瘍中心部を正確にマーキングした代表断面の標本から病理学的完全奏効(pCR)を評価した[代表標本(RS)法]。本附随研究では、RS法が、予後良好なpCR群を同定するために、本邦で広く採用されている従来の全標本(TS)法と同等であるか否かを検討した。
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方法
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JCOG0306試験に登録された103例の長期追跡データを得た。組織学的治療効果として、pCR(ypT0とypT0/is)と準pCR[QpCR、ypT0/is+Grade2b(浸潤癌細胞がわずかに残存)]をRS法とTS法で評価した。これら2つの方法間のpCRの一致、およびpCRと予後との関連を検討した。
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結果
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ypT0、ypT0/is、QpCRは、RS法では28例(27.2%)、39例(37.9%)、45例(43.7%)で観察されたのに対し、TS法ではそれぞれ20例(19.4%)、25例(24.3%)、40例(38.9%)であった。RS法とTS法のypT0とypTisの一致率はそれぞれ92.2%と86.4%であった。ypT0/is群の再発リスクは非ypT0/is群より低く(HR 0.408、95%CI [0.175-0.946]、P = 0.037)、ypT0/is群の死亡リスクは非ypT0/is群より低かった(HR 0.251、95%CI [0.073-0.857]、P = 0.027)。RS法を用いたypT0群とypT0/is群はTS法を用いた群と同様に予後が良好であり、pCRがypT0またはypT0/isに分類された場合でも、RS法はpCRと非CRのOSとRFSをTS法よりも有意に区別できた。TS法では、QpCR基準はypT0またはypT0/isというpCR基準よりも明確に患者を予後良好群と予後不良群に層別化した。
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結論
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RS法は、原発性乳癌に対してNAC-RTを受けた患者のpCR評価において、腫瘍中心が正確にマークされていれば、TS法と同等であった。RS法によるpCR基準としては、ypT0よりもypT0/isがより適切であった。
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