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JCOGリンパ腫グループ JCOG1105A1の血漿のリピドミクスプロファイリングに関する解析論文がCancer Chemotherapy and Pharmacology (IF: 2.7)に掲載されました
論文・学会発表- JCOGリンパ腫グループ JCOG1105A1の血漿のリピドミクスプロファイリングに関する解析論文がCancer Chemotherapy and Pharmacology (IF: 2.7)に掲載されました
- 目的
- 代謝物の網羅的解析(メタボロミクス)は、リキッドバイオプシーを解析する新たな戦略として提唱されており、特定の治療に関連する臨床効果や有害事象を予測するバイオマーカーの同定に応用されている。 ここでは、新たに多発性骨髄腫(MM)と診断された患者を対象に、ボルテゾミブ(Btz)関連の毒性および治療効果に関連する代謝物を同定することを目的とした。
- 方法
- メルファラン、プレドニゾロン、Btz(MPB)の2つの負荷の少ないレジメンを比較する無作為化第II相試験に登録された移植不適格MM患者の血漿54検体を、リピドミクスのプロファイリング解析の対象とした。 MPB療法前に得られた血漿中の各脂質代謝物の量を、毒性のグレード(重症度)およびMPB療法に対する反応性と比較した。
- 結果
- Btzによるグレード2以上の末梢神経障害(BiPN)を発症した症例(n = 11)では、7種類のリン脂質(4種類のリゾホスファチジルコリンと3種類のホスファチジルコリン)の高値が観察された。 さらに、グレード2以上の重篤な皮膚障害を発症した症例(n = 10)では、FA(18:2)、FA(18:1)、FA(22:6)の3つの脂肪酸(FA)の低レベルが観察された。 治療効果に有意に関連する代謝物は同定されなかった。
- 結論
- 我々は、特定の血漿脂質代謝物のレベルが、MM患者におけるBiPNおよび皮膚障害の重症度と関連していると結論付けた。 これらの代謝物は、Btzを含む治療を開始する前に、MM患者におけるBtz誘発毒性を予測するバイオマーカーの候補となる可能性がある。。