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JCOG食道がんグループ JCOG1409の主解析論文がThe Lancet Gastroenterology & Hepatology (IF: 38.6)に掲載されました

論文・学会発表
  • JCOG食道がんグループ JCOG1409の主解析論文がThe Lancet Gastroenterology & Hepatology (IF: 38.6)に掲載されました
  • Takeuchi H, Machida R, Ando M, Tsubosa Y, Kikuchi H, Kawakubo H, Noma K, Ueno M, Tsushima T, Bamba T, Fujita T, Hamai Y, Kakishita T, Daiko H, Koyanagi K, Matsuda S, Kato K, Sasaki K, Kita R, Kitagawa Y, investigators J. Thoracoscopic versus open oesophagectomy for patients with oesophageal cancer (JCOG1409 MONET): a multicentre, open-label, randomised, controlled, phase 3, non-inferiority trial. The lancet Gastroenterology & hepatology. 2025 Oct 13.
  • 背景

    • 食道癌に対する低侵襲治療である胸腔鏡下食道切除術は世界的に用いられている。しかし、胸腔鏡下食道切除術と開胸食道切除術を主要評価項目として長期生存率を比較した大規模多施設共同無作為化比較試験は存在しない。本研究の目的は、切除可能な胸部食道癌患者において、開胸食道切除術に対する胸腔鏡下食道切除術の全生存期間における非劣性を確認することである。

  • 方法

    • 本試験は、日本全国31施設で実施された多施設共同、非盲検、無作為化、対照、第III相非劣性試験である。20歳から80歳の患者で、組織学的に確認された食道扁平上皮癌、食道腺扁平上皮癌、または食道基底細胞扁平上皮癌が胸部食道に存在し、Eastern Cooperative Oncology Groupのパフォーマンスステータスが0または1、 臨床病期I、II、またはIII(ただしT4は除く)であり、日本ガイドラインに基づく表在性病変の内視鏡的切除および術前化学療法(2剤併用または3剤併用)を除き、食道癌に対する前治療を受けていないことが対象となった。患者は、臨床病期(IA 対 IB、II、または III)、年齢(76 歳未満 対 76 歳以上)、および施設による調整因子を用いて、ウェブベースのシステムにより 1:1 の比率で、右側開胸食道切除術または右側胸腔鏡下食道切除術のいずれかに無作為に割り付けられた。いずれの手術も、少なくとも D2 リンパ節郭清を伴うものであった。主要評価項目は治験責任医師評価による全生存期間(全生存率)であり、意図した治療集団で解析した。3年全生存率の非劣性マージンは9%(ハザード比[HR]1.44)とした。全生存率に関する正式な中間解析を2回計画:初回は予定患者数の半数が登録後、2回目は患者登録完了かつプロトコル治療終了後。第1次中間解析で胸腔鏡下食道切除術の全生存期間における非劣性および優越性が示され、かつ第2次中間解析で全生存期間の非劣性が示された場合、有効性に基づき試験を終了する。本試験はUMIN臨床試験登録(UMIN000017628)に登録済み(追跡調査継続中)。

  • 結果

    • 2015年5月20日から2022年6月17日まで、300例の患者が無作為に割り付けられた(開胸食道切除術群150例、胸腔鏡下食道切除術群150例)。300例中247例(82%)が男性、53例(18%)が女性であった。年齢中央値は68歳(四分位範囲64-72)。150例中148例(99%)が開胸食道切除術を、全150例が胸腔鏡下食道切除術を受けた。中央値1.6年(四分範囲0.8-2.5)の追跡調査における初回中間解析では、非劣性が確認されなかった(HR 0.56[99.99990046% CI 0.05-5.73]; 片側p値=0.002326、事前設定した非劣性閾値を上回る)。2回目の暫定解析における中央値2.6年(四分位範囲1.4-4.9)の追跡期間では、3年全生存率は胸腔鏡下食道切除術群で82.0%(95%信頼区間73.8-87.8)、開胸食道切除術群で70.9%(61.6-78.4)であった (HR 0.64[98.8% CI 0.34-1.21])であり、非劣性が確認された(片側p値=0.000726、事前設定した非劣性閾値0.00616を下回る)。データ・安全性監視委員会は試験の中止と結果の公表を推奨し、試験は2023年6月19日に終了した。術中合併症(グレード≥3)は両群で同程度であった(胸腔鏡群150例中1例[1%] vs 開胸群148例中2例[1%];全3例とも術中出血)。初回退院前の術後合併症(グレード≥3;63例[42%] vs 65例[44%])も同様であった。グレード3以上の肺炎は胸腔鏡群で12例(8%)、開胸群で18例(12%)に発生した。グレード3の吻合部漏出は胸腔鏡群で17例(11%)、開胸群で7例(5%)に発生した。治療関連死は胸腔鏡群で4例、開胸群で2例発生した。

  • 解釈

    • 日本における標準治療である胸腔鏡下食道切除術は、切除可能な胸部食道癌患者において開胸食道切除術に非劣性であった。