消化器内視鏡グループ Gastrointestinal Endoscopy Study Group:GIESG
消化器内視鏡グループ Gastrointestinal Endoscopy Study Group:GIESG
- グループ代表者:矢野友規(国立がん研究センター東病院)
- グループ事務局:阿部清一郎(国立がん研究センター中央病院)
- 主任研究者:矢野友規(国立がん研究センター東病院)
池松弘朗(東京大学医科学研究所附属病院)
関口正宇(国立がん研究センター中央病院) - グループ代表委員:池松弘朗(東京大学医科学研究所附属病院)
今井健一郎(静岡県立静岡がんセンター)
門田智裕(国立がん研究センター東病院)
関口正宇(国立がん研究センター中央病院)
竹内洋司(群馬大学)
田近正洋(愛知県がんセンター )
八田和久(東北大学病院)
山本佳宣(兵庫県立がんセンター)
由雄敏之(がん研究会有明病院)
吉田尚弘(石川県立中央病院) - 設立:2011年
※グループ代表委員とは、グループで行われる臨床試験の計画、実施の際に中心的な役割を担うメンバーです。
※主任研究者に関する詳しい情報は、共同研究班一覧をご覧ください。
概要
消化器内視鏡グループは、2004年から消化器がん内科グループの中で、内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic mucosal resection:EMR)小班として活動を行ってきましたが、2011年4月のグループ再編に伴い、消化器内視鏡グループとして独立しました。その後、EMRから内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic submucosal dissection:ESD)に治療手技が発展するとともに、診断機器の革新的進歩を背景に、消化管がん領域全般における内視鏡診断と内視鏡治療に関する臨床試験を包括的に担うグループとして活動を展開しています。参加施設数も27施設から開始し、現在では全国51施設にまで拡大しています。
研究のあゆみ
本グループでは、消化器がん内科グループのEMR小班時代に開始したJCOG0508試験(粘膜下層浸潤臨床病期I期[T1N0M0]食道癌に対するEMRと化学放射線併用治療の有効性に関する非ランダム化検証的試験)を皮切りに、JCOG0607試験(早期胃癌に対するEMRの適応拡大に関する非ランダム化検証的試験)、および消化器内視鏡グループとして独立後に胃がんグループと共同で実施したJCOG1009/1010試験(未分化型早期胃癌に対するESDの適応拡大に関する非ランダム化検証的試験)などを通じて、内視鏡治療の標準化と適応拡大に向けた臨床研究を重ねてきました。これらの試験はすべて主たる解析結果が公表され、いずれも診療ガイドラインに採用されるなど、現在の消化器がんに対する内視鏡診療、特に内視鏡治療の適応拡大に標準治療の確立に大きく貢献致しました。
内視鏡診断に関する初の試験として、JCOG1604「臨床病期IA食道癌の深達度診断における超音波内視鏡の有用性に関する非ランダム化検証的試験」を行い、2019年12月に登録終了、2021年に結果を公表しました。また、当グループ初のランダム化比較試験であるJCOG1207「食道癌術後難治性吻合部狭窄に対するステロイド併用EBDおよびステロイド併用RICのランダム化比較第II/III相試験」や、JCOG1217「早期食道癌に対するESD後の狭窄予防に関する試験」は解析結果の公表が完了致しました。さらに、下部消化管領域では大腸がんグループとの共同試験であるJCOG1612「局所切除後の垂直断端陰性かつ高リスク下部直腸粘膜下層浸潤癌(pT1 癌)に対するカペシタビン併用放射線療法の単群検証的試験」も追跡中であり、胃がんグループとの高齢者ESDに関する共同試験JCOG1902「早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術の高齢者適応に関する第Ⅲ相単群検証的試験」も登録が進んでおり、臓器温存を目指した内視鏡治療を中心とした低侵襲治療標準化のための検証研究を継続しております。2024年度は新たにJCOG2215「食道癌内視鏡的粘膜下層剥離術後狭窄に対するEBD単独療法およびステロイド局注併用EBD療法のランダム化比較第III相試験」およびJCOG2315「広範な食道表在癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術後の狭窄予防を目的とするステロイド局注+内服併用療法およびステロイド局注単独療法のランダム化比較第III相試験」といった食道癌ESD後狭窄およびその狭窄予防に関する試験が登録中です。これらのランダム化比較試験ではpatient reported outcomesを重視しております。
今後の展望
わが国における消化管がんの内視鏡診断および治療技術は、世界最高水準にあると評価されてきました。かつては、標準治療の確立を目的とした臨床試験による科学的エビデンスの構築が他のがん領域に比べて遅れておりましたが、当グループではこの課題にいち早く取り組み、本邦が取り組んできた内視鏡診療の科学的妥当性を厳密に検証することで、標準化と国際的評価の獲得を実現してきました。その成果は国内外の診療ガイドラインにも反映され、消化器内視鏡領域の治療開発および標準化に大きく貢献してきました。
また、時代に即した検診やサーベイランス検査のあり方、低侵襲医療の開発や推進も重要事項であり、内視鏡を用いた検診や診療はがんの早期発見と身体的負担の少ない治療を実現する手段として今後ますます重要な役割を担うと考えております。現在消化器内視鏡グループでは、日常診療の現場で得られるクリニカルクエスチョンをもとに実践的な研究を推進するとともに、新たな試験の立案にも積極的に取り組んでいます。特に、臓器別スモールグループによる若手医師主導の試験立案、ならびに他研究グループとの連携によるインターグループ試験が活発に行われており、持続可能で創造的な研究体制の構築を進めて参ります。
※グループ活動の紹介文は、2025年8月に更新したものです。
実績